野球以外 9

 自ら『感動』と紙に書き、部屋に貼ってある。
 テレビで『アポロ13』を観て泣いた。その後、少し思うことがあり、そのような行動に出たのである。
 映画を観て泣く、漫画を読んで泣く、音楽を聴いて泣く、このようなことがらは、私の中では日常茶飯事なのである。『アビス』や『メジャーリーグ』でも泣くし、『スラムダンク』『プラネテス』といったコミックスであっても然り。音楽では『ビリー・ジョエル』『山崎まさよし』で泣く。
 人によりけりであろうが、もっともっと泣いていた筈なのである。かつて、腹が減った時に泣き、おしめが気持ち悪い時に泣き、気にくわないことがあれば泣いていたのである。言葉を覚え出して泣くことが減り、ものの分別が付くようになり、また減り、感情のコントロールが、ある程度できるようになって減り、このまま成長を続ければ、いつか泣くことなどなくなってしまうのではなかろうかと感じたのである。『いいじゃない、泣かなくても』とお考えの方もいるだろう。
 しかし、私の場合そうはいかない。何せ、極めて自然に泣くために生きているのだから。感動して、感極まって泣くために作品をつくったり、美術館に足を運んでみたりしているのだから。
 残念ながら、映画館で泣いたことはあっても、美術館で泣いたことはない。自分で自分の作品をおもしろいとは思うが、泣けない。きっと、もっとイメージを増幅させて、もっと余計なものを削ぎ落とし、もっと気持ちをこめて、制作に取り組まなければならないだろうし、その余地が自分にはあると思う。同時に、『感動』する力を養わなければならないとも思うのである。小さなことを気にする人間にはなりたくないが、小さなことから何かを発見できるようにならなければ、と思う。
 人の心を打つ、魅了する、というのは非常に難しい。間違いなく難しい。しかし、『感動』する力を持っていない人にはそれは到底無理であろうし、言い換えれば『感動』する力を持つ人、養っていこうとする人こそが、真のアーティストになりうると思うのである。

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